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沖縄から世界に咲いた花

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■すべての人の心に花を / 喜納昌吉&チャンプルーズ (タイム / ポリドール)

もちろん好き嫌いはあるにせよ、喜納昌吉が沖縄伝来の音楽を継承発展させんとした試みと成果は、やはり芸能史に特筆されるものでしょう。

中でも本日掲載のシングル盤A面曲「すべての人の心に花を」は、別曲タイトル「花」として、幅広いミュージシャンが歌って演奏し、カバーバージョンも世界中で夥しくレコーディングされていますので、皆様も必ずや一度はは耳にされている傑作なんですが、やはり喜納昌吉&チャンプルーズが昭和55(1980)年に出したオリジナルバージョンは極みの名曲名演!

当然ながら作詞作曲は喜納昌吉が世界の平和という大上段に構えたところよりは、むしろ人と人との繋がりや自然の大らかさを基本する穏やかな世の中を希求する心を歌ったものと、そんなふうにサイケおやじは独断専行で思っているわけでして、例えそれがサイケおやじの勘違いだと言われようとも、気持はひとつ♪♪〜♪

なによりも、まずは主役で歌う喜納友子のナチュラルな説得力に満ちた節回しと声質の素晴らしさは、一期一会の感銘でありましょうか。

また、チト河内に久保田麻琴とライ・クーダーが関わったアレンジも絶品で、特に間奏で流れるライ・クーダーのスライドギターは絶品ですよっ!

あぁ、この自然に落涙させられてしまう全篇のサウンドの響きは、立派な世界遺産でしょうねぇ〜〜〜♪

ちなみに喜納昌吉&チャンプルーズは、この「すべての人の心に花を」を同年に出したLP「ボーダー・ライン」に収めていますが、実はライ・クーダーもいっしょの時期に同じタイトルのアルバムを制作発売しており、しかも収録数曲において、オキナワモードを使った演奏を披露しているのですから、これって「鶏と卵」ではありますが、個人的にはライ・クーダーが喜納昌吉の影響を受けたと判断したいところであり、チャンプルーズの件のレコーディングセッションにライ・クーダーが参加した経緯も含めて、皆様からのご意見をお伺いしたく思っています。

ということで、当たり前ですが、喜納昌吉は「ハイサイおじさん」≒「変なおじさん」ばっかりのミュージシャンではありません。

しかし告白すれば、サイケおやじは前述した喜納昌吉&チャンプルーズのLP「ボーダー・ライン」を聴いたのだって、そこにライ・クーダーが参加していたという現実に惹かれたからで、決して主役を目的にしていたわけではなかったのが、お恥ずかしい……。

ところが瞬時「すべての人の心に花を」が大好きになったのは、ライ・クーダー云々よりは、喜納昌吉&チャンプルーズが提供してくれた歌の世界に共感出来たからと思います。

ご存じのとおり、近年の喜納昌吉がやっている政治活動の中身については、全てを肯定するなんて事は出来ませんが、少なくとも「すべての人の心に花を」を作り、広く世界に伝播させた真実については、素直になっています。

最後になりましたが、実は今回、掲載盤を取り出してみたら、肝心のレコードの中身が!?!

なんとっ!

小林さち子=現・小林幸子の「やがて二十才になる女」なぁ〜んていう、売れなかった時期のブツが入っていたんですよ……。

う〜ん、自分じゃ〜、全然自覚症状が無いもんですから、いやはやなんとも、そこで久々に喜納昌吉のベスト盤CDを聴いているのでした。


未だ正統派アイドルの桜田淳子

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■ミスティー / 桜田淳子 (日本ビクター)

桜田淳子は説明不要、昭和歌謡曲の正統派アイドルを貫く女性歌手であったわけですが、ご存じのとおりの事情から極自然にフェードアウトし、だからこそ熱心な彼女のファンは今に至るも複雑な思いでありましょうし、それ以外の普通に芸能を楽しむ姿勢の皆様であれば、野次馬的な興味と共に、全盛期の彼女のイメージをあれこれと夢想するのも悪くはありません。

本日掲載のシングル盤は、ちょうど桜田淳子が女の子アイドルから大人の歌手へと移行していた昭和56(1981)年初夏に発売された1枚なんですが、何んと言ってもジャケ写の魅力には勝てません♪♪〜♪

あぁ〜、思わず撮影中のスタジオで見ている場所を変えたくなるのは必定という彼女のポーズの着エロフィーリングは、その頃には女優としての才能も開花させていたとはいえ、やはりアイドル正統派の証でありましょう。

しかし気になるA面曲「ミスティー」は作詞:小林和子&作曲:小田裕一郎による典型的な当時の洋楽系歌謡曲で、もちろん大村雅朗が施したアレンジは無機質テクノなんですから、なかなかサイケおやじには夢中になれない世界……。

まあ、それもリアルタイムでは我国歌謡界のポップス部門では最先端であったわけですから、既にして OLD WAVE な体質を露呈していたサイケおやじとしては皆様ご推察のとおり、所謂ジャケ買いの中古ゲットが真相というわけです。

当時のテレビ出演でも、なかなか露出度の高い衣装で歌っていた桜田淳子は特にサイケおやじが夢中なる存在ではありませんでしたし、例によって口の悪い妹に言わせると、彼女は左右の目の位置がズレているとか!?

それでもサイケおやじは彼女のルックスで素敵だなぁ〜♪ と感じるのは、思い込みかもしれませんが「手の小ささ」なんですよ。

ということで、如何にも夏向きと言うよりは、着エロのブツという概念でご紹介させていただきました。

確か桜田淳子にとっては、歌手活動でも末期の作品かと記憶しておりますが、相当な大ヒットを放ち続けた彼女であっても、今となってはなんとなく残したものが希薄に感じられ、むしろサイケおやじとしては、女優としての桜田淳子をもっと観たかったと……。

芸能界に戻って来るのは困難かもしれませんが、きっと深みのある演技を披露していくれるにちがいないと思っています。

一番好きなシルヴィのレコード

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■コンパクト・グランプリ・シリーズ:シルヴィ・バルタン (RCA)

 A-1 哀しみのシンフォニー / Caro Mozart
 A-2 悲しみの兵士 / Les Hommes
 B-1 あなたのとこり / Irresisitiblement
 B-2 恋人時代
 B-3 アイドルをさがせ / La Plus Belle Pour Aller Danser

何時も美しすぎるシルヴィ・バルタンのお姉様が、これは代表的なヒット曲を集めた、日本編集のコンパクト盤なんですが、サイケおやじが、あえてこれを中古ゲットしたのは、見つめてくれるシルヴィお姉様のジャケ写ポートレイトは言わずもがな、B面2曲目に入れられた「恋人時代」がお目当てでありました。

なにしろ、これは昭和46(1971)年の来日時にレコーディングされた、作詞:山上路夫&作曲:村井邦彦による日本語の歌謡ポップスなんですからねぇ〜〜♪

もちろん、前述のソングライターコンビは我国屈指のソフトロック主義者という作風は素晴らしく、しかし最高に素敵なのは、何の違和感も無い、流麗な日本語の節回しを聞かせてくれる彼女の歌の世界です。

しかも、葵まさひこの絶妙のグルーヴ感が効いたアレンジによって、なんとなく弘田三枝子にも歌って欲しくなるような、密度の濃さがたまりません♪♪〜♪

当然ながら、この「恋人時代」はリアルタイムでシングル盤が出ていたわけですが、サイケおやじは経済的な理由から入手が叶わず、それゆえに後々まで探索の対象にしていながら、良い出会いが無くて、時が流れ……。

ようやく手に入ったブツが掲載盤というわけですが、それにしても収録の全5曲、やっぱりグッとシビれる歌ばっかり♪♪〜♪

それはモーツァルトの「交響曲40番」をアダプトした「哀しみのシンフォニー / Caro Mozart」から鋭いメッセージーが含まれているとして話題集中だった「悲しみの兵士 / Les Hommes」と続くA面、そして確か1968年の交通事故から見事なカムバックヒットになった「あなたのとこり / Irresisitiblement」、さらにオーラスには、これぞっ! シルヴィ・バルタンの誰もが知っている極みの大ヒット「アイドルをさがせ / La Plus Belle Pour Aller Danser」がせつなくなる、本当に見事な流れのB面の中にあって、何ら自然に聴けてしまうのが、日本制作の「恋人時代」なんですから、心底和みます♪♪〜♪

今となっては何れの名曲名唱もCD等々で簡単に聴けるとは思いますが、サイケおやじが一番に愛聴していたシルヴィ・バルタンのレコードが、これっ! ということで、本日ご紹介させていただきました。

う〜ん、シルヴィお姉様のコンプリートコレクションという、非常にアブナイに道に惹き込まれそうな、嬉しくもせつない予感に満たされています。

街を歩く岡崎広志

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■街を歩こう / 岡崎広志 (ヤマハ)

一般的な知名度は低いかもしれませんが、昭和の日本男児であれば、岡崎広志の声は聴いたことがあるはずです。

中でも有名なところでは、昭和の深夜テレビ番組を代表する「11PM」のテーマ曲、例の「シャバダバ」スキャットなんですよ♪♪〜♪

そして皆様ご推察のとおり、岡崎広志は基本的にジャズプレイヤーなんですが、決して頭でっかちではなく、アルトサックスとボーカルを常に歌心を大切した演奏で聞かせてくれるという、なかなか粋なミュージシャンであり、特に男女混声のコーラスグループとしては我国の草分けであろうフォーシンガーズを結成しての活躍も忘れられないと思います。

もちろんレコーディングは夥しく残されており、自身のリーダー作品はもちろん、スタジオセッションからCM曲の仕事、あるいは来日外タレのバックや前座を含む、歌伴系の演奏も超一流ならば、ボーカルも実に上手いんですよねぇ〜〜♪

さて、そこで本日ご紹介する掲載盤A面曲「街を歩こう」は、昭和46(1971)年に録音制作された、実はヤマハの販促用楽曲なんですが、結論から言うと、なかなかライトタッチの歌謡ポップスがど真ん中!?

全然、ジャズっぽく無いわけでして、ところがバックの演奏を担当したのが渡辺貞夫(as)、福村博(tb)、遠藤利吉(g)、菊地雅章(p)、鈴木良雄(b)、つのだ・ひろ(ds) という、当時の渡辺貞夫グループに出入りしていた豪華なメンツであり、しかも作詞:青木誠&作編曲:渡辺貞夫というクレジットがあっては、捨て置けないブツでしょう。

ただし、繰り返しますが、ジャズっぽさやボサノバフィーリングは希薄なんで、そっち方面を期待すると肩すかし……。

と同時に、岡崎広志のオールマイティな歌の実力は存分に味わえる、隠れた名品かと思います。

ちなみに今回は諸事情から歌詞の記載は割愛させていただきますが、歌の中身は冬の情景&心象描写ながら、初夏〜真夏に聴いても、なかなか和んでしまうところに、岡崎広志の味わい深さがあるような気がします。

ということで、お洒落でイヤミの無い歌と演奏が聴きたくなった時は、岡崎広志がオススメですよ。

現在では、リアルタイムで制作されながら、あまり売れなかった音源が地道にCD復刻されていますので、機会があれば、聴いてみてくださいませ。

ただし残念ながら、この「町を歩こう」の復刻はど〜なっているんでしょうねぇ……。

物理的にも岡崎広志のコンプリートな音源集成は不可能と断じざるを得ませんが、アンソロジー&レアリティーズが編まれるとすれば、不可欠なトラックが「街を歩こう」だと、常にサイケおやじは強く思っているのでした。

アイドル歌謡にリンダの永久を

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■恋は熱烈 / 山本リンダ (キャニオン)

山本リンダと言えば、デビュー当時は元祖アイドル歌手のひとりであったはずが、やはり今では大ヒット「どうにもとまらない」以降のセクシーアクション歌謡というイメージが勝っているんじゃ〜ないでしょうか。

もちろん彼女にしても、状況的に今更デビューヒットの「こまっちゃうな」等々を歌うのは不自然であろうと推測されるわけですが、しかし、そうしたギャップが打ち消せないところに山本リンダの魅力の一端があると思うのは、サイケおやじだけでしょうか。

と、ノッケから勝手な疑念(?)の思い込みを書き連ねてしまったのも、それだけ山本リンダには打ち消せない「何か」を感じているからで、そんな「迷い(?)」のようなものが痛烈に出ているのが、昭和50(1975)年に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「恋は熱烈」です。

だって、作詞:岡田冨美子&作曲:加瀬邦彦、そして編曲:萩田光雄の狙ったところは、リアルタイムのアイドル歌謡ポップスがど真ん中の仕上がりなんですよっ!

ところがジャケ写は、如何にも当時の山本リンダがそのまんまのイメージという、情熱のアクション歌謡が全面的に表現されているんですから、いやはやなんとも、その落差というか、ギャップの凄さを「迷い」と思わずして、何が山本リンダを聴く姿勢なのか……!?

極言すれば、ここでの山本リンダの節回しや声質から滲むセクシーさが、ど〜にも曲調にはミスマッチ過ぎるんですよねぇ〜〜〜!?▲▼◎■?

ところが、それがクセモノというか、もしも同曲を例えば麻丘めぐみ、あるいは桜田淳子あたりが歌ったとしたら、ここまでの味わいが出せるのかは大いに疑問ですし、そんな「味わい」なんかアイドル歌謡の世界には不必要という結論さえ導かれてくるような、そんなこんなに熱くなってしまうのも、昭和歌謡曲を楽しむサイケおやじの態度のひとつなのでしょう。

ということで、山本リンダは永遠のアイドルシンガー!?!

そう、断じてしまいたいんですよ、サイケおやじの心情は。

ただし、もう、ずぅ〜〜〜っと山本リンダのライプステージには接した事が無いサイケおやじとしては、当然ながら現在の彼女がどのような演目を披露しているのかを知りません。

それでも、今も「恋は熱烈」を歌ってくれる彼女を夢想して止みません。

はるみでゴーゴー

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■涙のバラ / 都はるみ (日本コロムビア)

都はるみは説明不要、我国歌謡界で数多くの大ヒットを放ち、そのクドイほどのコブシとウナリが特徴的な節回しは唯一無二の存在ですが、そのスタイルは楽曲によって変化するなぁ〜んて事は、もちろんありません。

例えば、本日掲載のシングル盤A面曲「涙のバラ」は昭和43(1968)年夏の大ヒットなんですが、ということは当然ながら、作詞:三浦康照&作曲:市川昭介の狙いは流行最先端のGS歌謡!?!

ですから、味付けの濃いストリングスとエレキギターの全面使用、さらにはニューオリンズ系R&Bを彷彿とさせられるドラムスとベースのビート感が導入されていますから、前述した都はるみの歌いっぷりの個性が尚更に全開しているんですねぇ〜〜♪

いやはや、ここまでやられると、現代で言われるところの「和物グルーヴ」なぁ〜ていう陳腐な業界用語が恥ずかしくなるほどですよっ!

ご存じのとおり、彼女は次曲「好きになった人」を決定的な代表作にするわけですから、都はるみの全盛期を何時にするかは難しい問題ではありますが、この頃が第一次黄金時代と言えましょうか、とにかくノリにノッていた「はるみ節」が、この「涙のバラ」を忘れられないものにしているのは確かです。

ちなみにジャケットは初見、味気ないデザインですが、当時の慣例(?)として見開きにしてみれば、なんとっ!

都はるみがミニスカ姿でジャストミートのファンキーポーズを披露♪♪〜♪

正直、サイケおやじは、それほどのセクシーさは感じませんが、こうした高揚感こそが、昭和元禄の日本を象徴するものでありました。

ということで、話は変わりまして、本日のサッカーW杯の日本チームは、これで完全に他力本願の結果になりましたが……。

それも楽しみが続くと思えば、前を向いてっ!!

都はるみのイケイケなコブシとウナリは、そうした状況にもドンピシャのような気がしています。

ドレミファン変化

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■私半人前 c/w ノックは無用 / ドレミファン (CBSソニー)

少年時代から綺麗なお姉様が大好きだったサイケおやじが、今もって気になっているのが、本日掲載のシングル盤を昭和49(1974)年に出したドレミファンというグループです。

それは残念ながら、サイケおやじは彼女達の生のお姿はもちろん、テレビ等々でも接したことが無く、このレコードの存在すらも、発売から数年を経ての中古屋での邂逅でしたからねぇ〜〜。

でも、ジャケ写に登場しているキャスパー=丸尾美津子、ハニー=稲見美智子、ダラ=石井薫子、レオ=柴田真知子のメンバーは各々、なかなか男好きのするルックスですし、実際にレコードに針を落してみれば、歌の実力もなかなかではありますが……。

これまた残念ながら、前述したメンバーの名前等々が載っている裏ジャケの写真が大減点で、全く色気の無いジーンズ姿というのも、まあ、当時のファッションの典型でありますから、何も言えませんが、それにしても、とにかく作詞作曲:浜口庫之助&編曲:高田弘が提供したA面曲「私半人前」における、仄かなセクシーフィーリングは良く出来た着エロイメージ映像の如き、素敵な妄想を喚起させられる仕上がりなんですよ♪♪〜♪

そして、それが更に良く出たのが作詞:阿久悠&作編曲:鈴木邦彦による、ご存じ、大信田礼子のヒット曲カバー「ノックは無用」なんですから、たまりません♪♪〜♪

あぁ……、ドレミファンの動くお姿を見たかったなぁ〜〜。

もちろん、当時の事ですから、水着姿なら、尚良しってなもんですよ。

しかし、それでもサイケおやじが、このレコードに救いを見い出すのは、未だに顔と名前が一致しないメンバーのインディビジュアルを配置したジャケットデザインでありまして、告白すれば既に壁に飾っている1枚でありながら、その日、その時の気分によって、天地左右を90度回転させての鑑賞が実に楽しいんですよ♪♪〜♪

ということで、ドレミファンのように、こういうお姉様達が挙って登場し、活躍出来ていた昭和の歌謡界は、まさに奥の細道でもあり、それを辿るのがサイケおやじの余生の過ごし方に出来るのであれば、齢を重ねる悲観も軽くなるのでは?

なぁ〜んて、自分に言い聞かせているのでした。

お願い、じゅん&ネネ

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■プリーズ・プリーズ・プリーズ c/w 忘れた歌 / じゅん&ネネ (キングレコード)

じゅん&ネネはデビュー当時から歌謡曲の中でも絶妙の洋楽フィーリングを隠し味にしていた感があり、それゆえにソフトロック歌謡という観点からすれば、昭和47(1972)年に発売された本日ご紹介のシングル盤は、それほどのヒットにはなりませんでしたが、収録両面曲共に、なかなかの傑作と思います。

とにかく、まずはA面曲「プリーズ・プリーズ・プリーズ」が、もう最高〜〜♪

それは松田晃の作詞作曲はもちろんの事、特筆すべきは東海林修のアレンジの「ビートの効いた爽やかさ」とでも申しましょうか、リズムアレンジやホーンセクションの使い方が黒っぽいのとは逆にエレピを用いた曲展開の彩りが、たまらないんですねぇ〜〜♪

しかもそこに、じゅん&ネネならではの幾分生臭いと言っては失礼かもしれませんが、濃いめのコーラス&ハーモニーワークが乗っかるんですから、確信犯的な狙いはドンズバに昭和歌謡曲ファンを捕らえて離さないんじゃ〜ないでしょうか。

そして個人的には尚更に好きというのがB面収録の「忘れた歌」でありまして、こちらは作詞:安井かずみ&作曲:かまやつひろし、加えて編曲:竜崎孝路が提供するのは、ちょっぴりジャズっぽくてカーペンターズ風味も仄かな、これまたソフトロック歌謡の決定版なんですよっ!

あぁ〜、ピアノの響きに彩られたじゅん&ネネの余韻の残る節回しが、実に素敵♪♪〜♪

しかし冒頭に述べたとおり、ここまで完成度の高いレコードを作りながら、時代は既にじゅん&ネネを必要としなくなったのは、厳しい現実……。

おそらく彼女達のキャリアでも、最後に近い1枚と思われますが、ご存じのとおり、じゅん&ネネは今世紀に入って再び活動しているとなれば、サイケおやじはそのライプには接した事はありませんが、この「プリーズ・プリーズ・プリーズ」や「忘れた歌」を演じていて欲しいと願うばかりです。

最後になりましたが、このジャケ写の雰囲気も、全く今頃の時期にはジャストミートでしょう。

如何にも当時の普段着っぽいファッションが、現代のお若い皆様にも通じるのであれば、このレコードも存在意義が高くなるわけでして、そんなこんなも例によってサイケおやじの独断と偏見かもしれませんが、ひとつよろしくであります。


桂木文のせつなさは…

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■短篇小説 / 桂木文 (ワーナーパイオニア)

さてさて、東京都議会における女性議員への蔑視的ヤジが世界的にも報道される事態となり、いやはやなんとも、情けない話と思うばかりですが、例えなんであろうとも、殊更女性としての尊厳を貶めるような言動は時と場所を選ぶ必要性がある、なぁ〜んて常識は、サイケおやじにも幾分はあるわけですよ。

で、そんなこんなから、思い出してしまったのが桂木文(かつらぎあや)……。

今でも、彼女を思うと、せつない気分に陥ってしまうのはサイケおやじばかりでは無いでしょう。

それは落語家の林家しん平との昭和60(1985)年の電撃結婚から、アッという間の離婚が発表され、しかもその記者会見の席上で、彼女に対する精神と肉体の性的欠陥を露骨に指摘暴露する発言が林家一門側からなされ、桂木文は、ただただ泣いているだけという、いくら芸能活動の一環とはいえ、あそこまで酷いやり方は、もしも現代であれば、忽ちネットを含む各方面で林家一門は社会的な制裁を受けても不思議ではない状況でありました。

詳しい事は今回、ここまでと致しますが、興味の抱かれた皆様であれば、そんな事態はネットでいくらでも知る事が出来るはずで、それほど苦しい立場に追い込まれた桂木文は、テレビドラマ「ムー一族(TBS)」で郷ひろみの恋人役(?)としてラッキーなデビューを果たした美少女アイドルというイメージが無残に崩れ……。

サイケおやじにとっては、件のデビュー当時から感じていた、どこかしら儚げな印象が、そのまんま現実になったような気もしていますが、そこで本日ご紹介するのは、昭和53(1978)年に発売された桂木文の歌手デビュー曲「短編小説」でありまして、彼女が聞かせてくれるこの歌も、なかなか儚げな魅力に胸キュン♪♪〜♪

ご存じのとおり、「短編小説」はシンガーソングライターのさだまさしが作詞作曲した事から、例によって秘めやかな恋情の穏やかな歌謡フォークではありますが、なによりも桂木文の「ささやき歌唱」があってこその完成度は抜群で、しかも全然ジャズっぽく無いところが高得点なんですよ♪♪〜♪

ちなみに、さださましがアイドルに提供した楽曲では、山口百恵の「秋桜」と双璧の傑作と、サイケおやじは強く思っています。

しかも前述した離婚記者会見があって以降、失礼ながら急速に輝きが失せてしまった桂木文を思う時、この「短編小説」が、ますます魅力を強くしていると感じるのは、サイケおやじの思い込みでしょうか……。

もともとが「短編小説」は、せつない歌です。

それでも桂木文が最初にレコーディングした時、ここまで相反的に魅力を増大させるなぁ〜んて事は、全く意想外であったはずで、まあ、それもサイケおやじの独断と偏見でありますが、個人的には非常に愛おしい名曲名唱というわけです。

ということで、ジャケ写の涼しげなイメージも眩しかった桂木文♪♪〜♪

だからこそ、あれこれ悪い噂を聞くのは辛いですし、そっとしておきたいのが彼女への一方的な印象です。

そして、だからこそ、サイケおやじはレコードの中で「短編小説」を歌ってくれる桂木文を大切にしているのでした。

大好きな小松みどり

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■ポチャポチャ小唄 / 小松みどり (東芝)

小松みどりはご存じ、五月みどりの実妹で、その男好きのするルックスは姉妹甲乙つけがたいところですから、例によってサイケおやじは少年時代から大好きなお姉様のひとりでありましたが、どちらかと言えば、小松みどり派をこの機会に告白させていただきす。

もちろんご存じのとおり、小松みどりも五月みどりに負けじと(?)ロマンポルノ「好きぼくろ(昭和60年・山本普也監督)」に出演したり、高級クラブを経営したり等々、なかなか「色の道」の趣も深いわけですが、しかし同時に姉・五月みどりとは似て非なる「可愛らしさ」が憎めないところで、それは姉妹共に積み重ねた年齢とは無関係の魅力になって、今日も続く真実なんですよねぇ〜♪

それは掲載した彼女のデビューシングル盤のジャケ写からも、既に明確に表れていると思うのは、サイケおやじの思い込みでしょうか。

発売は42(1967)年初夏と言われていますが、この時の小松みどりは確か17歳だったんですよっ!

いゃ〜、このジャケ写を眺めているだけで、サイケおやじは大満足で、実はこのレコードは先週、長年の夢が叶って入手出来たという、ホヤホヤの個人的お宝というわけです。

そして肝心のA面曲「ぽちゃぽちゃ小唄」は作詞:岩崎なみ&作編曲:高木勇次が提供した、当時の芸能界恒例のセクシームードが思わせぶりな歌謡曲なんですが、特筆しておきたいのは花柳啓之の振り付け指導が裏ジャケに掲載されている事でしょう。

つまり、お座敷とか宴会場で「ぽちゃぽちゃ小唄」を歌って踊る狙いまでも企図されたわけで、しかも小松みどりの持ち味である、ハートウォームな(?)お色気が滲む声質による節回しが、辛抱たまらんの世界♪♪〜♪

う〜ん、既にセブンティーンで、この境地!?

と書けば、それは贔屓の引き倒しであって、小松みどりの真骨頂はデビュー当時から、しっかりとファンを惹きつけていたというわけです。

ということで、実は小松みどりの音源覆刻状況は全く良くないです。

正直、お茶の間で流れるには小松みどりの歌は艶っぽ過ぎる声質ではありますが、だからこそ、居場所の無い中高年の紳士諸氏には必要とされるのが、小松みどりの歌の世界!

もしも彼女の音源が復刻集成されるのであれば、そのCDはサイケおやじの車の中ではマストになるにちがいありません。

ど〜か、レコード会社の英断を切に願うものであります。

もちろん、これまでのブロマイドやスチールカット、さらにはグラビアショットを纏めた写真集も、ねっ!

下を向くより、前を見る

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病院で定期健診のため、本日の1枚は休載させていただきます。

W杯では日本が惨敗……。

東京は昨日、梅雨時に雹が積もったんで、奇蹟でも!?

という思い込みも甘かったですねぇ〜〜。

永遠の渚の誓い

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■なぎさの誓い / The Tymes (Parkway / 日本ビクター)

所謂オールディズの定義のひとつに、古くても良い歌、良いメロディーという条件があるとすれば、サイケおやじにとってのオールディズの中には必ずや常備されるのが、本日掲載シングル盤A面曲「なぎさの誓い / So Much In Love」です。

今となっては、この1963年に大ヒットしたタイムズのオリジナルバージョンよりも、1982年に某映画のサントラ扱いでリバイバルヒットした、元ポコ〜イーグルスのティモシー・シュミットのカパーバージョンが良く知られるところかもしれませんが、それも「なぎさの誓い / So Much In Love」が基本的に持っている、胸キュンにしてハートウォームなメロディがあればこそっ!

本当に何時聴いても、琴線に触れまくりの泣きメロが素敵なんですよねぇ〜♪

ちなみに件のタイムズは、アメリカのフィラデルフィア周辺で活動していた黒人コーラスグループなんですが、黒っぽさよりは黒人芸能ならではの粋な甘さを得意技にしていたようで、マニア用語では「甘茶」に属する魅力と白人にも自然に馴染めるポップスフィーリングがウケた要因かと思います。

メンバーはリードを歌うジョージ・ウィリアムス、アルバート・ベリー、ジョージ・ヒリアード、ノーマン・バーネット、ドナルド・バンクスを当時のレギューとする5人組なんですが、この「なぎさの誓い / So Much In Love」を作曲したのはジョージ・ウィリアムスということで、自作自演の気持が入ったボーカル&コーラスにも納得されるものがありました。

そして同時に特筆するべきは、レコード化されたシングルバージョンには波の音がSEとして用いられている事で、邦題「なぎさの誓い」はそこからの連想と思わざるを得ません♪♪〜♪

これはレコーディングプロデューサーのビリー・ジャクソン、そしてアレンジャーのロイ・ストレイジスの合作アイディアらしく、楽曲クレジットも彼等3人の名義になっているのは、如何にも音楽産業の舞台裏が興味深いところですし、アメリカのヒットチャートでは堂々のトップに輝いたのもムペなるかな、今日ではスタンダードの人気曲になっているのは言わずもがなです。

ただし、タイムズにとっては、実はこれが特大のヒットになり過ぎたわけでして、一応は1964年までに2〜3曲ほどをチャートインさせたものの、後は泣かず飛ばず……。

ところがタイムズは冒頭に述べたとおり、フィラデルフィアで活動していた人脈を活かし、そうした暗黒時代(?)に自らのレーベルを立ち上げ、そこで地道に制作していた諸々のレコードには、後に世界を席巻する「フィリーソウル」の礎的な感触が記録されているのですから、侮れません。

特に1974年の「You Litlle Trustmaker」の大ヒットによる復活は、件の「フィリーソウル」の世界的なブームと重なったことで、実は既にRCAに移籍していたとはいえ、タイムズの魅力を再認識させた実力は流石と思います。

ということで、そのあたりの「フィリーソウル」のあれこれについてを追々に書いていきたいと目論んでおりまして、その端緒のひとつとして本日はタイムズを取り上げてみました。

素敵な音楽は時を超えて、リスナーの心を揺さぶる真実を痛感している次第ですが、この「なぎさの誓い / So Much In Love」は黒人R&Bやソウルミュージックに分類するのがバカらしくなるほどの普遍的な存在として、大衆音楽の典型なのかもしれません。

もしも伊東ゆかりがフォークの女王ならば

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■ちいさな恋 / 伊東ゆかり (キングレコード)

伊東ゆかりはデビュー当時からポップス歌手という位置付けが極めて高かったようで、それは幼少期からの進駐軍キャンプ巡りや公式レコードデビューが洋楽カパーであった事等々、芸能活動の初期から歌謡曲とはちょっぴり異なる領域で活動していた所為でしょうか、所属していた渡辺プロでは中尾ミエや園まりと抱き合わせのような売られ方をされながら、一般的な歌謡ヒットがイマイチ出せない時期がありました。

それを突破出来たのは、「シャボン玉ホリデー」等々へのテレビ出演から、ついに昭和42(1967)年の「小指の想い出」のウルトラメガヒットだったんですが、そこで本日掲載したのは、その直前!?

昭和41(1966)年秋に発売されたシングル盤は、とにかくジャケ写の雰囲気がモロにカレッジフォークのど真ん中!

殊更A面曲「ちいさな恋」が作詞:水島哲&作曲:平尾昌章=現・平尾昌晃、そして編曲:井上忠夫というクレジットを確認しても、おそらくは12弦であろうギターの響きやドライなリズムの用い方等々、なかなか良く出来た歌謡フォークだと思います。

ところが伊東ゆかりの歌い回しが、どこからしら湿っぽくて、せっかくの愛らしい曲メロが逆にしっくりとこない感じ……。

告白すれば、サイケおやじは全くリアルタイムではノーマークで、昭和40年代中頃になって、ようやく中古でゲットした1枚なもんですから、既に述べたとおりのジャケ写のイメージ、そしてその頃の流行であった歌謡フォークの大ブームからして、過大な期待が裏目になったんですよ。

しかも当時の伊東ゆかりは歌謡ポップスに邁進の大ヒットを多数放っていましたからねぇ〜〜、ますます縁遠いのが、この「ちいさな恋」という感じでしょうか。

欲を言えば、だからこそ伊東ゆかりには、王道(?)歌謡フォークでヒットを狙って欲しかったと思うばかりでした。

ということで、しかし決して伊東ゆかりは間違えた道を歩んでいたわけじゃ〜無くて、あくまでもサイケおやじの独断と偏見に満ちた希望からすれば、例えば森山良子タイプの歌謡フォークの世界でも、堂々の勝ち組になれたはず!?

そんな確信があるんですが、いかがなものでしょう。

しかし歴史には伊東ゆかりが、この直後に「小指の想い出」や「恋のしずく」等々を歌っていったことで、しっかりと歌謡界をリードしていた真相が刻まれています。

その意味で、こうした早すぎた歌謡フォークとでも決めつけたいレコードが残されたのは、ファンやマニアにとっての幸せな「お宝」かと思います。

そしてもしも、「伊東ゆかりフォークを歌う」なぁ〜んていうアルバムが作られていたとしたら、ぜひとも聴いてみたいと願っているのでした。

あれは百蓮物語にすべきじゃ〜ないか

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■負けない愛がきっとある / 仲間由紀恵 (Epic Sony)

恥ずかしながら、現在NHKで放送の朝ドラ「花子とアン」を視聴しています。

もちろんリアルタイムでは無理なんで、録画しておいての後追い鑑賞ではありますが、その理由は昔っから興味を抱き続けていた柳原百蓮の登場!

ご存じのとおり、柳原百蓮は妾腹ながら、大正天皇の従妹という血筋と家柄に恵まれた美貌の歌人であり、同時に数奇な運命とスキャンダラスな生き様は、常に世間の晒し者的な扱いもありましたが、本音と鋭い洞察力が滲む文学的な才能にはサイケおやじも大いに感服する女性でしたからねぇ〜〜。

その柳原百蓮がテレビドラマとはいえ、映像化されるというニュースは、サイケおやじを驚愕歓喜させたわけですが……。

現実的には件の朝ドラ「花子とアン」の主役は翻訳家の村岡花子であり、柳原百蓮は脇役という扱いが、現代に至っても、なかなか全てを披歴する事が出来ない事情を表わしているのでしょうか。

しかし劇中で柳原百蓮を演じる仲間由紀恵の演技は素晴らしく、主役であるはずの吉高由里子が演じる村岡花子の存在感を薄くしているのは、否定出来ない事実と思います。

というか、失礼を重々承知で書かせていただければ、「花子とアン」は脚本が全く宜しくありません。

物語展開に無駄な描写や人間関係のあれこれが多く、それゆえに不自然な演出が目立つのは、サイケおやじには耐えられないほどです。

正直、美輪明宏のナレーションと柳原百蓮の登場がなければ、見ていられない気持!

そりゃ〜、村岡花子の子孫が書いた原作を得ている以上、劇中の花子が現実の世界でやらかした不倫騒動を綺麗事に描かねばならない事もあるでしょう。

しかし、それでも残念ながら、サイケおやじには吉高由里子が世評どおりの良い女優とは決して思えず、逆に言えば、イメージとしての柳原百蓮に近い仲間由紀恵を認めざるをえないわけです。

極言すれば、仲間由紀恵って、こんなに素晴らしい女優だったのか!?

なぁ〜んていう不遜な思いすらあるんですよ。

そこで本日は、以上のような戯言を書くために、ど〜して手元にあったのか分からないという仲間由紀恵のシングルCDを掲載しました。

肝心の楽曲「負けない愛がきっとある」は作詞:松井五郎&作曲:林 哲司、そして 編曲:田代隆廣による、個人的には全然魅力を感じないデジタル歌謡ポップスなんで、本日は一応聴きましたが、これからはそれも無いでしょう。

しかし曲タイトルと仲間由紀恵の名演に免じて、あえて掲載させていただいた次第です。

ということで、柳原百蓮や村岡花子については現在、ネットでも大凡の事は知れるのですから、確かに変名とはいえ、高視聴率のNHK朝ドラであればこそ、これからはいよいよ生臭くならざるをえない物語展開が、どのように改変され、視聴者を納得させるのか??

それが楽しみなサイケおやじであります。

ソフトロックのトミー・ロウ

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■Dizzy / Tommy Roe (abc / キングレコード)

我国ではチャートマニアやオールディズファンから絶大(?)な支持を集めるトミー・ロウは、しかし一般の洋楽好きからはバブルガムのシンガーであり、決してロケンローラーと認められているわけではありません。

しかしトミー・ロウは偉大なロッカーとして歴史に名を刻するバディ・ホリーのボーカルスタイルに影響され、何よりもソングライターとしての才能も豊かでしたから、もう少しは日本で評価されても!?

というのが、サイケおやじの正直な気持ちです。

そこで本日掲載のシングル盤A面曲「Dizzy」は、1969年春に全米ヒットチャートのトップに輝いた本人自作のソフトロックで、共作したのは旧友のフレディ・ウェラーなんですが、もうひとつ特筆しておきたいのが、ハリウッド系ポップスの裏方としては、P.F.スローンと組んだ仕事やグラスルーツのプロジェクト等々で、殊更重要人物だったスティーヴ・バリの存在でしょう。

実はスティーヴ・バリは、トミー・ロウが1962年に放ったデビュー大ヒット「かわいいシェイラ / Sheila」以来のファンである事を公言していたらしく、この「Dizzy」のプロデュースにも相当の力が入っていたのでしょうか、ちょい聞きには、ど〜って事の無いメロディをグッと濃密な印象に導くストリングの使い方は、なかなかにソウルフル♪♪〜♪

ちなみにストリングのアレンジはご存じ、名匠のジミー・ハスケルなんですが、ここでの成功が例えばグラスルーツ等々、1969年末頃から黒っぽいサウンド作りに転進した所謂ダンヒルサウンドの分岐点だったのかもしれません。

ただし、スティーヴ・バリは最初っから、それを本命にしていたわけでは決してなく、同時期に作られたトミー・ロウ&スティーヴ・バリのコラボレコードを聴いてみれば、前述した「かわいいシェイラ / Sheila」の如き、先祖がえりのバディ・ホリー調の歌と演奏があったりしますから、試行錯誤は確かにあったはずです。

そして、以下はサイケおやじの独断と偏見による独り善がりな推察になりますが、おそらくはここで聞かれるスタイルで「Dizzy」を歌いたかったのは、トミー・ロウ本人の希望が強かったのでは?

また、それを鋭く察したスティーヴ・バリのプロデュースも侮れないのが当然であり、そんなこんなも音楽産業の裏側を探索する楽しみのひとつかと思うばかりです。

ということで、今となってはあまり刺激的ではないトミー・ロウという歌手の存在、同じくバブルガムヒットにジャルン分けされてしまう「Dizzy」という名曲の軽い扱いは、それが当然と納得するしかない状況だとしても、もう一度、聴き返されるべき時期に来ているような気がしています。

幸いなことにトミー・ロウのキャリアを辿るのは、CDによる音源覆刻も含めて、それなりに充実していますし、近年はソフトロックの分野から再評価される良い状況もありますから、皆様もぜひ、どうぞ。


チラリズム歌謡の魅力

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■ちょっと色っぽいポーズ / 上田真弓 (日本コロムビア)

本日掲載のシングル盤は、例によって中古屋でジャケ買いさせられた1枚でして、そのサイケおやじのスケベ心云々は、今更言うまでもありません。

いゃ〜、女性が全く瞬間的に見せてくれる、こうしたポーズの魅力は、モロろ見え(?)よりも、ずぅ〜〜っと素敵♪♪〜♪

なぁ〜んて思っているんですが、もちろんサイケおやじだって、若かりし頃はモロ見えに拘っていたわけでして、それが何時しか、こういう「ちょっと色っぽいポーズ」に惹かれるのは、それだけ自らの老成ってやつでしょうか?

いやはや、何んともお恥ずかしい話ではありますが、それにしも収録A面曲のタイトルがドンズバのジャケ写は、あらためて素晴らしいと思います。

しかし肝心の主役、上田真弓について、サイケおやじは知るところがありません。

このシングル盤が発売されたのは昭和55(1980)年ということで、つまりは昭和歌謡曲のアイドル全盛期に出されたのですから、一応はそっちを狙ったんでしょうが、実際に針を落してみれば、作詞:山上路夫&作曲:平尾昌晃による「ちょっと色っぽいポーズ」は、アイドル歌謡と言うよりも、なかなかグルーヴィな正統派歌謡曲!

そして上田真弓のボーカルスタイルが小柳ルミ子畑中葉子の系譜に属する、如何にも平尾昌晃が十八番のラインですから、その説得力は侮れません。

ただし、これはサイケおやじだけかもしれませんが、リアルタイムではテレビやラジオでも彼女に接した事がなく、このレコードにしても実は昨日、ゲットしてきたという、まさに後追いの奥の細道というわけです。

そしてますます、昭和歌謡曲の深みに囚われている自分を感じてるのでした。

夏だっ! ちえみだっ! 稲妻だっ!

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■稲妻パラダイス / 堀ちえみ (キャニオン)

最近の天候の不安定さは「異常」という言葉が規格外の激しさで、昨日も車で移動中、突然の雷雨に襲われ、後部座席で幸せな居眠りモードに入っていたサイケおやじも、ガッツ〜〜〜ンと目が覚めた次第なんですが、そこで我知らず脳内麻薬(?)として浮かんできたのが、本日掲載のシングル盤A面曲「稲妻パラダイス」でありました。

歌っている堀ちえみは説明不要、所謂1980年代アイドルのひとりとして、これを出した昭和59(1984)年は絶頂期!

大ブレイクしたテレビドラマ「スチュワーデス物語」等々、あるいはCMやグラビアでの人気に加えて、この頃には歌手としても安定感が出て来ましたから、国民的なアイドルになっていたんですよねぇ〜〜〜。

そしてこの「稲妻パラダイス 」は如何にも夏向きの歌謡ポップスとして、作詞:康珍化&作曲:林哲司が狙ったのはズバリッ! ビーチボーイズ系の西海岸サーフサウンドの歌謡曲化であり、それゆえに遊び心に満ちた萩田光雄のアレンジも良い感じ♪♪〜♪

とにかくリズムやコーラスの用い方は、特にそっち方面のマニアならずとも、完全に気分は夏の海ってなもんでしょう。

堀ちえみの歌いっぷりも既に述べたとおり、それなりの安定感がありますし、テレビの歌番組で接する限りでも無難なアイドル歌謡の本質を演じていたのは、逆に言えば当時の売れまくったイメージである前述「スチュワーデス物語」における「ドジでノロマな亀」が可愛らしさにダブッた瞬間芸かもしれません。

そういえば某テレビ番組で「稲妻パラダイス」を歌っていた堀ちえみが、振り付けアクションの最中に靴を客席に飛ばしてしまい、片足だけストッキングがモロという放送事故は今や伝説ですよねぇ〜〜♪

いゃ〜、何をやらかしても、なかなか憎めないのが堀ちえみの本質であるとすれば、アイドル引退後の結婚と離婚の繰り返しや子育て奮闘物語も説得力が違うという事でしょうか。

ちなみに歌手としての堀ちえみは、次曲も傑作「東京 Sugar Town」を出していますから、実は密かに洋楽マニアからも熱い支持を受けていたんですよっ、当時は!?!

なんというか、そのジャンルにおけるノーテンキなバブルガム系女性シンガーの日本版みたいな、つまりはスタジオレコーディングではセッションボーカリストが歌ってしまうようなオールディズ風味の楽曲が堀ちえみ用に作られていたという現実と実際には彼女が自ら演じていたという真実が、マニア心を絶妙に刺激していたように思います。

ということで、些か不謹慎な書き出しから穿った結論まで、本日もサイケおやじの独断と偏見ばかりは、ど〜か、ご容赦下さいませ。

そして一応、雨の歌や夏向きソングのあれやこれや、続けてみようと目論んでおりますので、よろしくです。

弱気の虫にスプリンクラー

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■スプリンクラー / 山下達郎 (Moon / アルファ)

「雨の歌」というと、ど〜しても古い選曲になりがちなサイケおやじではありますが、本日は幾分新しいなぁ〜、と自分でも思ってしまう山下達郎の人気曲「スプリンクラー」を出してきました。

しかし、思えばこの歌にしても、発売されたのが昭和58(1983)年ですから、充分に古いわけですが、まあ、いいか、例え皆様にサイケおやじの姿勢を失笑されようとも。

で、この「スプリンクラー」は都市の象徴である地下鉄、その地上から地下への風景を男女の破綻した恋愛模様に加えて、ゲリラ豪雨(?)みたいな久々の雨に流れていく弱気な男の怨み節!?

そんな感じのせつない歌詞とフュージョン系アーバンソウルな曲展開が、如何にも山下達郎の「節」で演じられるんですから、リアルタイムのサイケおやじは一発で気に入って、当時はシングルオンリーの発売だった掲載盤をゲットしたんですが、歌の主人公の自己憐憫な心情にも大いに共感を覚えた次第です。

もちろん「雨の音」のSEが使われ、しかも今となっては有名過ぎる「大正琴」を使ったパートも含め、演奏の主要部分を山下達郎本人が「人力」でやっている真相も、なかなか曲全体に湿っぽさと人間らしさを表出させたポイントかと思います。

ちなみにそれ以外ではヘヴィでシャープな青山純のドラムス、井上大輔のシビれるようなテナーサックス、堅実にグルーヴする伊藤広規のペースが、やはり同等の比重で貢献している事も、流石は山下達郎のプロデュースの成せるところでしょう。

そして当然ながら、作詞作曲が本人ということもありましょうが、ライプの現場で披露される時の「力の入り方」についても、サイケおやじは大好き♪♪〜♪

賛否両論はあるにせよ、そういう「正直さ」も、山下達郎の魅力かもしれません。

ということで、サイケおやじは、こういう男の女々しさを描いた歌が好きでして、現実世界での精一杯のツッパリも、既に周囲から裏を読まれている身としては、尚更に感情移入させられるんですねぇ……。

それと今では遠い世界になっている、サウンド作りのアナログな感覚とでも申しましょうか、この「スプリンクラー」にしても、多種多様なキーボード類が使われているにも関わらず、ドラムスやベースも含めた人間味の強い演奏こそが、血の通った歌に繋がると思うわけですよ。

まあ、そのあたりがサイケおやじの OLD WAVE な体質と心情の表れなぁ〜んていう話は、これまで何度も書いておりますが、これからもよろしく、おつきあい下さいませ。

しばたはつみには都会の夜が似合う

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■ラブ・イズ・イリュージョン (日本コロムビア)

さてさて、昨日の続きのような気も致しますが、「地下鉄」が都市の象徴ならば、もうひとつ、「ハイウェイ」だって、そうかもしれません。

もちろん、それを「高速道路」と言ってしまえば、ローカルな雰囲気が強くなると言うのはサイケおやじの思い込みでありまして、あぁ、またまた独断と偏見で聴いてしまうのが、本日掲載のシングル盤A面曲「ラブ・イズ・イリュージュン」です。

どうです、まずは都市の夜の雰囲気が濃厚なジャケ写の中で、ビシッとキメのポーズで登場しているのが、しばたはつみ

ですから演じられるのは、これが世に出た昭和54(1979)年秋の流行最先端だったフュージョン系AORの歌謡曲展開であって、そこに披露される彼女のボーカルの素晴らしさは筆舌に尽くし難いとは、この事かっ!?

と、思うばかりですよ♪♪〜♪

それは作詞:小林和子&作曲:小田裕一郎という、如何にも当時の俊英ソングライター陣が狙いを定めたアップテンポなソウル歌謡であり、同時に既に述べたとおりのフュージョン味は信田かずおのアレンジがジャストミート♪♪〜♪

ラテンビートも包括して叩き出されるリズム隊のグルーヴは、ライトタッチのリズムギターやシャープなパーカッションが心地良く、加えてホーンセクションのキレの良さ、さらには都会派ソウル風味を増幅させるバックコーラスの鮮やかさが本当にたまりません♪♪〜♪

う〜ん、しばたはつみも、これだけの演奏パートが出来上がっているのですから、思わず入れ込んでしまいそう!?

と、言うなかれ!

実は見事に抑制された節回しと歌いっぷりは、フィ〜ル・ソ〜・グッ〜♪

あぁ〜〜、思わずアッパーな気分が全開させられてしまうサイケおやじです。

ということで、すっかり華やかな都市グルーヴにどっぷりと浸ってしまいますが、これも近づくバルブの足音、その予兆だったなぁ……、なぁ〜んて回想もしみじみとです。

つまり、この頃の高揚感は、社会全体の歪みがどんどん目立って増えた時期でありながら、それでも普通に前を向いていられたんですから、現在の日本にも、夢よ、もう一度!

そんな願いを抱きつつ、こういう歌と演奏を聴くのは幸せなのかもしれません。

バニーズの悲しき雨音

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■悲しき雨音 / 荻野達也とバニーズ (東芝)

「雨の歌」の絶対定番が、カスケーズがオリジナルの「悲しき雨音」に異存などはありません。

実際、世界中で愛され、夥しいカバーバージョンが作られている事は言わずもがな、本日掲載したのは我国のバニーズが昭和46(1971)年に出した、日本語詞による、なかなか心温まる傑作と思います。

ちなみにバニーズと言えば、寺内タケシが昭和41(1966)年に結成したエレクトリックな名バンドでありましたが、昭和43(1968)年末頃(?)には寺内タケシがリーダーから退いた感じで、「荻野達也とバニーズ」に改称され、ついには翌年春頃に寺内タケシから完全独立!?

その頃のメンバーは荻野達也(key)、黒沢博(vo,g)、鈴木義之(g,b)、小野肇(b)、井上正(vo,ds) だったと思いますが、エレキインストは継承しつつも、さらにボーカル&コーラスを全面に出したスタイルは、所謂ソフトロックの歌謡曲的展開とでも申しましょうか、時にはカレッジフォークや演歌色が滲む楽曲も演じていたのは、既にGSブームが峠を越えていた表れだったかもしれません。

しかし振り返って現在、荻野達也とバニーズの音源を聴いてみると、その仕上がりの素晴らしさはサイケおやじの本当に好むところ♪♪〜♪

この「悲しき雨音」にしても、ホーンセクションをメインした葵まさひこのアレンジを用いつつ、岩谷時子の日本語詞をジンワリと歌う黒沢博のボーカルが実に良い味出しまくりですよ♪♪〜♪

以下は全くサイケおやじの当て推量かもしれませんが、こうした洗練と大衆性のバランスの良さは、荻野達也の音楽性なのかなぁ〜、と思う次第です。

で、この機会に書いておきたいのですが、バニーズはちょうど頃にメンバーチェンジが何度かあったようで、小野肇の脱退や栗山正(g) の加入等々を経て、確か昭和47(1972)年には解散状態になりながら、荻野達也はブラスロックと歌謡曲を巧みに融合させたフーリンカザンと名乗る本格的なホーンセクションを据えた新バンドを、バニーズの元メンバー達も加えて発展的に結成したんですよねぇ〜♪

サイケおやじは当時、たった一度だけ、フーリンカザンのライプに接したんですが、BS&Tシカゴあたりのカパーを抜群にカッコ良く演じいましたし、合間に洋楽や歌謡曲のソフトロック風演奏もあったりして、これが強い記憶に焼き付けられています。

あぁ〜、フーリンカザンの音源って、残っていないんでしょうかねぇ〜。

ということで、最後になりましたが、またまた襲いかかっている日本列島豪雨被害は、人知を超えた自然の猛威と言うには、毎度の事ながら、やりきれません。

被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。

そして一刻も早い復旧、今後の被害が最小で済みますように、祈るばかりです。

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