■すべての人の心に花を / 喜納昌吉&チャンプルーズ (タイム / ポリドール)
もちろん好き嫌いはあるにせよ、喜納昌吉が沖縄伝来の音楽を継承発展させんとした試みと成果は、やはり芸能史に特筆されるものでしょう。
中でも本日掲載のシングル盤A面曲「すべての人の心に花を」は、別曲タイトル「花」として、幅広いミュージシャンが歌って演奏し、カバーバージョンも世界中で夥しくレコーディングされていますので、皆様も必ずや一度はは耳にされている傑作なんですが、やはり喜納昌吉&チャンプルーズが昭和55(1980)年に出したオリジナルバージョンは極みの名曲名演!
当然ながら作詞作曲は喜納昌吉が世界の平和という大上段に構えたところよりは、むしろ人と人との繋がりや自然の大らかさを基本する穏やかな世の中を希求する心を歌ったものと、そんなふうにサイケおやじは独断専行で思っているわけでして、例えそれがサイケおやじの勘違いだと言われようとも、気持はひとつ♪♪〜♪
なによりも、まずは主役で歌う喜納友子のナチュラルな説得力に満ちた節回しと声質の素晴らしさは、一期一会の感銘でありましょうか。
また、チト河内に久保田麻琴とライ・クーダーが関わったアレンジも絶品で、特に間奏で流れるライ・クーダーのスライドギターは絶品ですよっ!
あぁ、この自然に落涙させられてしまう全篇のサウンドの響きは、立派な世界遺産でしょうねぇ〜〜〜♪
ちなみに喜納昌吉&チャンプルーズは、この「すべての人の心に花を」を同年に出したLP「ボーダー・ライン」に収めていますが、実はライ・クーダーもいっしょの時期に同じタイトルのアルバムを制作発売しており、しかも収録数曲において、オキナワモードを使った演奏を披露しているのですから、これって「鶏と卵」ではありますが、個人的にはライ・クーダーが喜納昌吉の影響を受けたと判断したいところであり、チャンプルーズの件のレコーディングセッションにライ・クーダーが参加した経緯も含めて、皆様からのご意見をお伺いしたく思っています。
ということで、当たり前ですが、喜納昌吉は「ハイサイおじさん」≒「変なおじさん」ばっかりのミュージシャンではありません。
しかし告白すれば、サイケおやじは前述した喜納昌吉&チャンプルーズのLP「ボーダー・ライン」を聴いたのだって、そこにライ・クーダーが参加していたという現実に惹かれたからで、決して主役を目的にしていたわけではなかったのが、お恥ずかしい……。
ところが瞬時「すべての人の心に花を」が大好きになったのは、ライ・クーダー云々よりは、喜納昌吉&チャンプルーズが提供してくれた歌の世界に共感出来たからと思います。
ご存じのとおり、近年の喜納昌吉がやっている政治活動の中身については、全てを肯定するなんて事は出来ませんが、少なくとも「すべての人の心に花を」を作り、広く世界に伝播させた真実については、素直になっています。
最後になりましたが、実は今回、掲載盤を取り出してみたら、肝心のレコードの中身が!?!
なんとっ!
小林さち子=現・小林幸子の「やがて二十才になる女」なぁ〜んていう、売れなかった時期のブツが入っていたんですよ……。
う〜ん、自分じゃ〜、全然自覚症状が無いもんですから、いやはやなんとも、そこで久々に喜納昌吉のベスト盤CDを聴いているのでした。