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追悼・筒美京平:荻野目洋子を聴きながら

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■北風のキャロル / 荻野目洋子 (ビクター)

この世の中、何事も自分を理解してくれる協力者の存在は実にありがたく、それは仕事においても、良い成果が残せるなんてこたぁ~、言うまでもありません。

例えば作曲家は、企図した狙いを的確に増幅してくれるアレンジャーとの協調・協力関係が欠かせませんし、もちろん自らが編曲を担当する場合も含めて、所謂「パクリ」を活かすも殺すも、これまた重要なポイントになってるんじゃ~ないでしょうか?

例えば本日掲載のシングル盤A面収録「北風のキャロル」は、荻野目洋子が昭和62(1987)年秋に放ったヒット曲で、全くの未見ながら、テレビドラマの主題歌にもなっていたそうですが、それよりも印象的なのは、同時期に流行っていた英国産のナツメロ系デジタルポップスが巧みに取り入れられている事でして、売野雅勇が提供の歌詞に附されたメロディは案の定(?)筒美京平の作曲!

しかも、さらに分かり易いウケを狙ったといえば不遜は免れませんが、サビがモロにマイケル・ジャクソンのオンタイムでのメガヒット「Bad」なんですよねぇ~~~!?!

これは当時から、如何にも素早いパクリと称賛(?)されていたはずで、なにしろ、きっちり歌詞の中に「You're really bad bad my bonny」というパートがあり、それをミエミエに露出(?)させた大サービスこそが「筒美京平」という錦の御旗であるとすれば、既に述べたとおり、楽曲の全体像の印象を仕上げたアレンジャーが新川博というのも、結果論かもしれませんが、確かに説得力があります。

で、ここで提出させている雰囲気の元ネタは、聊かサイケおやじの守備範囲からは外れますが、それでも洋楽ヒットの流行最前線だったという判断に間違いはないはずで、告白すれば、長い間……、僅かながらも心の蟠りになっていたほど……。

う~ん、おそらくはイギリスから登場していたスウィング・アウト・シスターと名乗るグループのヒット曲のひとつじゃ~なかろうか?

とまでは、なんとか感じる事は出来たんですが、それがどのように導入されているのか、詳らかなところは解明出来ていません。

ただし、イントロの構成とか、ユーロビート風のサウンドイメージが妙にモータウンっぽかったりするもんですから、「英国産のナツメロ系デジタルポップス」なぁ~んて、コジツケてしまった次第なんですが、それにしてもマイナーキーの使い方とか、大元をキメたのは流石に筒美京平の天才でありましょう。

また、新川博は以前にも書いたんですが、昭和50年代中頃からユーミンのバックバンドでキーボードプレイヤーとして活躍しており、他にも中原めいこ伊藤智恵理、そして荻野目洋子等々のアイドルのレコーディングやステージライブにも関わっていた俊英ですので、気になる皆様は拙ブログ内だけでも、検索お願い致します。

ということで、「パクリ」に関して、荻野目洋子の「北風のキャロル」では作詞・作曲・編曲それぞれの担当者がひとつの方向性を持っていた好例と思います。

それを「共謀」とか「共犯」とか、責めるのは易いわけですが、そうした制作現場の諸々は絶対的な職人技が集積されていたはずで、なかなか興味津々です。

そして出来上がった「北風のキャロル」を見事に歌ってしまう荻野目洋子の素晴らしさ♪♪~♪

筒美京平の楽曲をそれほどはレコーディングしていない彼女ではありますが、まさに一期一会の傑作と思っています。


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