■孤独の叫び / The Animals (Decca / キングレコード)
日本人向けの洋楽ロックバンドとしては、なかなか絶大な存在感を示していたのがアニマルズかと思います。
もちろん全盛期のアニマルズが殊更我が国を意識していたはずもない事は言わずもがな、しかしやってくれる歌と演奏には如何にもグッと惹きつけられるコブシがありますからねぇ~~♪ ヒット演目には日本語の歌詞を附したカバーバージョンが作られ、例えば尾藤イサオの「悲しき願い」は、その決定版でしょう。
逆に言えば、そこからアニマルズに惹かれたファンも多いはずで、ちょうどその頃にテレビで人気があった洋楽番組「ビートポップス(フジテレビ)」におけるアニマルズの注目度は、その表れだったような気がするほどです。
そして本日掲載のシングル盤A面曲「孤独な叫び / Inside-Looking Out」もまた、なかなか日本人の琴線に触れまくりの人気曲で、ちょっぴりズンドコなリズムのキメと合の手ギターのリフが覚えやすく、加えて看板スタアのエリック・バードンのブラックソウルな節回しが超ご機嫌♪♪~♪
実際、アニマルズのこの歌と演奏を知らずとも、曲そのものや前述したキメのフレーズはきいたことがあるという皆様も大勢いらっしゃるはずと確信する次第です。
ちなみに当時のアニマルズは諸々のゴタゴタから抜けてしまったリーダー格のアラン・プライスの替りに新加入のデイヴ・ロウベリー(key)、そしてレギュラーメンバーのヒルトン・バレンタイン(g)、チャス・チャンドラー(b)、ジョン・スティール(ds)、エリック・パードン(vo) という顔ぶれだったんですが、プロデューサーのミッキー・モストと別れ、レコード会社もデッカに移籍しての心機一転再出発という事もあってか、なかなか荒々しいフィーリングが実に好ましいですよ♪♪~♪
それは同時期のデッカ音源に共通するもので、これまでのキーボード主体の音作りから、ギターをメインにしたサウンドの違いが感じられ、だからこそエリック・バードンの粘っこくて野太いボーカルとコブシがますます魅力的になったんじゃ~ないでしょうか?
それが1966年のアニマルズであり、皆様ご存じのとおり、翌年にはエリック・バードンが最新流行のサイケデリックロックに鞍替えしてしまう事から、コブシ系ハードロッキンなスタイルは、ここがピークだったように思いますし、だからこそ世界中でウケまくったんでしょう。
そうです、アニマルズにとっては決して日本が一番成功していた地域ではなく、世界中に夥しいファンと信者の存在があって、例えばグランド・ファンク・レイルード=GFRが「孤独な叫び / Inside-Looking Out」をシンプルに、そして激しくカバーした十八番をウリにしていた事でも明らかです。
ということで、アラン・プライスが抜けた後のアニマルズは幾分軽く扱われる事もあるんですが、個人的には同等に大好きですし、特に高校生最後の文化祭で同好会ロック組の演目として、GFRバージョンのコピーではありますが、この「孤独な叫び / Inside-Looking Out」をやらせていただいた身としては、やはり特別なものを今も感じています。
そして最後になりましたが、この機会に書いておきたいのが冒頭に述べたテレビ洋楽番組「ビートポップス(フジテレビ)」の事です。
これは確か昭和42(1967)年頃から放送が開始された洋楽ヒットチャートをメインにした音楽情報バラエティで、司会は大橋巨泉とミュージック・ライフ誌の星加ルミ子、そして解説(?)には木崎義二というマニアも納得のレギュラー陣に加えて、アシスタント兼ゴーゴーダンサーには小山ルミや杉本エマ等々が出演していたのですから、サイケおやじにとっては毎週土曜日のお楽しみ♪♪~♪
ただし当時の事ですから、ヒットチャートも日本の洋楽事情が優先されたものでしたし、それも後年のMTVのようなものではなく、つまりプロモビデオはほとんど無かったので、レコードジャケットやミュージャンのスチールカットをアップで映したり、レコード音源に合わせて件のセクシータレント達が踊る姿を美味しいカメラアングルで流したりという、それはそれで良い時代を象徴する番組のひとつでありました。
もちろん特別ゲストも豪華で、人気GSはもちろんの事、本日の主役たるアニマルズ、デイブ・ディー・グループ、スコット・ウォーカー、ホリーズあたりも登場していましたですねぇ~~♪
あぁ~、あの頃に家庭用ビデオがあったらなぁ~~~、という気持ちは何も「ビートポップス」だけに対するものではありませんが、でもねぇ~~。
そんなこんなもアニマルズを聴くと、尚更に思い出されるのでした。